2021年10月、コロナ真っ只中にイギリスにお嫁にきました!国際結婚、海外移住、退職、就活、イギリス料理・・・

【イギリス食問題】その1:西ヨーロッパで『最も肥満の国』の現実

アメリカとは違い、ジャンクフードのイメージもないお洒落なヨーロッパの国と聞くと、肥満とは無縁のように思いますが、実際そうでもありません。

 

イギリスはヨーロッパで最も肥満の多い国なのです。「成人男性はほぼメタボ、女子は全員減量前のユリアン」なんて誰かがおっしゃっていましたが、イメージ的にはそれで正解です。

 

考えてみれば、食事は朝からイングリッシュ・ブレックファースト(油でしっかりフライした朝ごはん)、お昼はサンドイッチ、夜はパブでビール、持ち帰りのカレーに中華料理。飲み物は紅茶か紅茶かコーヒーか(もちろんお砂糖しっかりと)。

ちなみにフィッシュ&チップス一回食べると約1,000キロカロリーですからね。

 

人によって程度の差こそあれど、一般的なイギリス人の食生活はすごく偏っているのです。

 

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イギリスの肥満率

なんと成人の肥満率が約65%!

子どもの肥満率に関しては、4~5歳の子供たちの28%が正常体重超か肥満、10〜11歳に関しては40%が同じく正常体重以上か肥満に認定されています。

 

2019年の統計データ(NHS調べ)では、次の通り。

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成人の半分以上が「正常体重超」もしくは「肥満」

Adult obesity in England

The Health Survey for England 2019 estimates that 28.0% of adults in England are obese and a further 36.2% are overweight but not obese. Obesity is usually defined as having a body mass index (BMI) of 30 or above. BMI between 25 and 30 is classified as ‘overweight’.

The survey found that men are more likely than women to be overweight or obese (68.2% of men, 60.4% of women). People aged 45-74 are most likely to be overweight or obese.

The survey did not take place in 2020 due to the coronavirus pandemic.

https://commonslibrary.parliament.uk/research-briefings/sn03336/

 

イギリスの新聞『The Guardian』紙では、肥満のせいで国民皆保険制度が崩壊するなんてことも記事になっていました。肥満は万病のもと。医療費がタダのイギリスでは、誰でもお医者に行ける分、その医療費は税金としてしっかりと国民が払います。2014ー2015年度、国が負担した肥満に関連した医療負担額は約9,200億円(£6.1 billion)。ちなみに肥満率は年々上がっており、1990年から比べると+90%増加。

私たちが普段支払っている税金で、医療制度を賄っていることを考えると、イギリスダイエット革命が必要なんじゃないかと本気で思います。税金・・・

 

 

誰のせい?

①食品業界

肥満は1日にしてならず、時間とお金をかけてゆっくりと進行するもの。食生活という自分の食事のパターンや習慣の結果が、自分自身。

 

そうとは分かっていても、「良い選択ができない環境」というのは存在するものです。確かにスーパーに行くと、なぜこんなに冷凍食品が安いのか、とか、チョコレートコーナーだけで陳列棚2列分とか、びっくりすることがしばしば。周りの買い物客を見ると、コストコで見かけるような巨大なカートいっぱいにお菓子やジュース、冷凍食品を詰め込んでいる人がほとんど。

The Guardianでは食品業界に責任がある、と大体的に記事を書いていました。

 

They are primarily the result of an industry that stands to gain from packing processed foods with increasing amounts of cheap and addictive fat, sugar and salt, in a way that has reduced consumer choice by conditioning our palates to crave more over time.

(翻訳:食品業界は、安価で中毒性のある油、砂糖、塩を使った加工食品を販売することで得をする、その結果が肥満だ。そして、消費者の選択は限られていく。)

 

可愛いキャラクターやポップなデザインで子どもたちがより欲しがるように、親たちがより買いやすいように。そういった工夫が奏を効して、病院に来る9人に5人の子どもたちが虫歯の治療を受けている、とのことでした。虫歯に始まり、徐々に子どもたちの身体を蝕み・・・深刻な社会問題です。

そしてそのツケを納税者である自分達で賄っているので、大きい視点で、自分達で自分達の首を絞めている、そういった状況なのですね。

 

②食に関する文化の違い

BBCのレポートには面白いことが書いてありました。

食というのは人間の大事な生活の時間で、日本語でも「人に良い」とかいて食、とかいうくらい大事です。フランスやスペインなどの他のヨーロッパ諸国では、テーブルを囲んでお昼ご飯でもしっかりといただく(ボナペティーってやつですね)。

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みんなで食べると100倍美味しい

 

ところがイギリスは、働くために食べる。せっせと仕事をするためにサンドイッチなんかを食べて仕事に戻る。

 

イギリスは歴史の教科書に出てくる産業革命が起こった国です。いろんな物をお家で手作りしていた時代から、工場で機械を使って大量生産。女性も子供も、みんな工場へ働きに出ていきました。そうなってくると、現在の日本でも問題になっている「誰がご飯作る?」問題。特にロンドンなどの都市部では夫婦共ばたらきは、むかしから全く珍しくないものでした。

 

そうなってくると頼りになるのは、Uber Eatsと言いたいところですが、そんなものなかった時代です。労働者階級なのでゆとりもない。とりあえず出来合いのもの、簡単なもの、すぐ食べられるものでお腹を満たし、またお仕事。だからサンドイッチ発祥の地はイギリスなのです。

 

そういった文化的な背景がイギリスには根付いているので、今でもスーパーなどに行くと、Ready Meal(レンジでチン!)や冷凍食品コーナーの充実っぷりに圧倒されます。もちろん食品業界のお墨付きなので、何が入っているのかわからない加工食品たちです。

 

“In UK culture we often eat on the run, and then become peckish an hour or two later, so we eat again”, says Professor Gately. “We’re constantly grazing throughout the day, with almost no recognition of the eating episodes, so they almost blur into one.” (

https://www.bbc.co.uk/food/articles/britain_diet)

(翻訳:Gately博士によると「イギリス文化では、食事は急いで食べることが多い。急いで食べると1〜2時間後に小腹が空いて、また食べて。そうこうするうちに食べた量を認識しないようになり、ずっと食べてる状況になる。)

 

まとめ

いかがでしたでしょうか、イギリスの食事情。

「人のふり見て我がふり直せ」ということわざがありますが、まさにそう。

日本では和食という世界遺産にも登録されている素晴らしい文化がありますが、お昼休みにごった返するファーストフード店やスーパーのお惣菜コーナーを見て、共通することがあるな、とわたしは思いました。

さらに深掘りしていくと、医療費の問題に行きつき、私たちが普段から納めている税金問題まで。日本では病気になったらお金もかかるし、お仕事の機会も減ります。食に関する問題は、ファイナンシャル・プランニング(より良い暮らしの地図づくり)をしていく上で、実はいちばんの土台なのです。

 

日本は大丈夫とかイギリスはやばい、とかそういうことではなく、現代を生きる「消費者」という私たちが、かしこく選べるように。そのためにも情報発信しなくては、と思う今日このごろです。

 

はげみになりますので、コメントやご質問ありましたらお気軽にどうぞ〜♪

 

 

【参考文献・Webページ】

https://commonslibrary.parliament.uk/research-briefings/sn03336/

The Observer view on the UK's shocking obesity levels | Observer editorial | The Guardian

Why are Brits the fattest in Western Europe? - BBC Food